患者さんから聞いた話なのですが、実はその際にその方が、「でも、それだけとは限らないですよね」とおっしゃっていました。
そうです。
その通りだと、僕も思いました。
筋膜とは筋肉を包んでいる膜なのですが、確かに、筋膜をやわらげることで取れる痛みもあるでしょう。
しかし、筋膜と筋肉は完全に分離した組織ではありませんし、筋肉は骨に付着しています。
そして、骨と骨は関節包や靭帯といった組織で結合されて、関節を形成しています。
つまりは、筋膜も、筋肉も、骨も関節も、もっというなら体のすべての組織というものは、お互いに影響を与え合っているのです。
ですから、筋肉をやわらげると筋膜がやわらぐ、関節をやわらげると筋膜もやわらぐ、といった反応も起こるわけで、原因を筋膜1つに絞るのは単純化しすぎのように思えるのです。
本当にその方は、「鋭い視聴者」だと思いました。
そして、ぜひ皆さんにも、そんな「鋭い視聴者」になっていただきたいと思うのです。
嘘だとか不要だとか言うつもりはありませんが、テレビというのはどうしても、視聴率を取るために誇大な話をしがちです。
しかし、それを一歩引いた視線で捉え、「そういう考えもある」程度に見ていただけると、あふれる情報に惑わされずにすむと思うのです。
医学というのは実は、わからないこと、不確実なことが多いものです。
そんな現実を冷静に捉え、いろいろな見方をし、その中から自分に適した選択ができる方こそ、健康を維持しやすいと僕は思います。
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