2016年6月29日水曜日

初動負荷トレーニング

 イチロー選手が先日、日米通算の最多安打記録を更新しました。

 それに伴い、彼のおこなっている「初動負荷トレーニング」が注目されているようです。

 今回は、それについて書いてみます。


「初動負荷トレーニング」のもととなっている「初動負荷理論」は、

「反射の起こるポジションへの身体変化及び、それに伴う重心位置変化等を利用し、主動筋の『弛緩―伸張―短縮』の一連動作を促進させると共に、その拮抗筋ならびに拮抗的に作用する筋の共縮を防ぎながら行う運動」

と定義されており、それを実践するトレーニングが「初動負荷トレーニング」と呼ばれています。

(小山裕史著・『「奇跡」のトレーニング 初動負荷理論が世界を変える』より)


 専門用語のわからない方には意味不明だと思いますので、僕の解釈でわかりやすく表現すると、「余分な力の入らない、リズム・バランス・スピード・柔軟性を備えた理想的な動作を訓練する方法」が「初動負荷トレーニング」だと思います。

 逆に、油圧式のマシーンで最初から最後まで力を入れ続けるような筋力トレーニングは、確かに筋繊維を太くはしますが、体をかたくさせ、実際の動作とはかけ離れた動作を体に身につけさせてしまうリスクがあります。

 それを不自然だと否定したことから出発したのが初動負荷トレーニングであり、いわば真逆の方法といえるのです。


 基本的に僕は、この考えを支持しています。

 実は僕は、15年以上前、オステオパシーの専門学校に通っていた頃に、初動負荷トレーニングを知りました。

 その時に「これは理にかなっている!」と思い、専門の本を読んだり、その理論に基づいた運動を自分でしたりしてみたのです。

 結果的に今それは、僕の人体観の一部となり、それを参考にした施術をするようにもなっています。

 まあ、「自分は15年以上前にこれを評価していたんだ」という自慢になってしまうかもしれませんが、この度イチロー選手が大きな成果を出したので、今回は自慢させてください(笑)。


 ただ、こういうトレーニング法・健康法には、個別の相性や、流行り廃りがあるのも事実です。

 例えば、イチロー選手が使っている「初動負荷マシーン」のある施設に行ってトレーニングをしたという人に話をうかがったのですが、「非常に良い」という人もいる一方で、「言うほど良くはない」という人も、やはりいました。

 また僕自身も、本を読み、可能な限り実践した結果、「これはどうなのか?」と思う点もありました。

 体には個人差があるので、合う・合わないがあるのは、当然なのかもしれません。

 しかしながら、「初動負荷トレーニング」が現代のスポーツ界に一石を投じた素晴らしい方法だというのは、間違いがないとは思います。

2016年6月23日木曜日

機械の修理と人間の治療

 先日、施術室内のエアコンにトラブルがありました。

 突如、運転が停止し、エラーコードが表示される、という事態が起きたのです。(幸い、本体リセットをすることで再使用ができたので、運転は継続できた)

 それで修理を頼んだところ、冷媒のガスが漏れていることが判明。

 部品交換などをしてもらったのですが、それでも微細な漏れが続くため、結局、商品交換という形を取っていただき、一件落着となりました。


 さて、その際に修理や交換作業に立ち会ったのですが、うらやましい、おもしろそう、と少し思いました。

 それは、なぜか。

 機械は基本的に、どこが悪いかがはっきりとわかる、からです。

 そして、それに沿った対応をすれば、直ります。

 一方、僕の仕事では、人体というのがあまりにも複雑なため、なぜ具合が悪いのかを特定することが難しい(自信たっぷりに特定する人もいますが、実はそれは「そういう可能性もある」「原因の中の1つである」ということがほとんどだと思います)です。

 そして、僕の場合は施術になりますが、それを良くしようと思って対応をしても、効果の現れ方に大きな個人差も生じます。

 そのような人体の複雑さ・曖昧さに比べると、機械というのは理路整然としているように感じて、お金と労力さえかければほぼ直せるので(もし直せなくても新品と交換もできるし)、そこがうらやましいし、おもしろいだろうなあ、と思ったのです。


 しかしながら、人体には自然治癒や、プラセボ効果があります。

(自然治癒は、放っておいても治ることです。プラセボ効果とは、例え無意味な治療・療法でも、患者さんが「これは治りそうだ」と思うことで、それが体にプラスに働いて治癒を促進することです)

 ですから、何かをすることが、想定以上に効果がある場合もあるのです。機械にはそれはないでしょう。理屈どおりにしか事が運ばないはずです。

 また、機械相手に1日過ごすよりは、人間を相手にしていた方が楽しいとも、僕は思います。

 なので、よく考えてみると、機械よりも人体を相手にする方が、治すのに有利な点・楽しい点も、あるのかもしれません。


 結局、ぼくには今の仕事の方が向いているのだとは思います。

 ただ、機械を相手にすることには、人間を相手にすることとは別の楽しさもありそうです。

2016年6月17日金曜日

メインサイトをリニューアル中です

「新潟市中央区オステオパシー」のメインサイトを、現在リニューアル中です(→こちら)。

 そのサイトはJimdoというサービスを利用していて、ブログのようにクラウド上で操作をすることでホームページが作れるという、ドイツ生まれのサービスなのですが、使い勝手が良いのでもう3年以上お世話になっています。

 今回のリニューアルは、内容に一切変更はありません。

 レイアウトや文字のスタイルなど、デザインのみの変更です。

 以前と比べてJimdoに新しい機能が追加されているので、何ができるのかを確認しながら、作業をしています。

 しばらく細かい変更が続くでしょうが、変更がなくなった時が、「完成」の時だと思ってください。

 ちなみに、そのような作業が、僕はけっこう好きなのだと思います。

 格好良いサイトを、ぜひ完成させたいと思っています。

2016年6月3日金曜日

「誰かに触られることは体に良い」というテレビ番組を見た感想

 先日たまたま、テレビの有名な健康番組を目にしまして、「誰か(ある程度信頼関係のある人)に触られると、オキシトシンというホルモンが分泌され、痛みの緩和作用をもたらすなど、体に良い」とやっていました。

 これはまあ、その通りだと思います。

 しかし、その通りなのですが、いくつか別の視点での考えを書いてみましょう。


・「実験」的なことをしていたが、対象者の数が少なすぎるのではないか。

・「こういう人がいて、定期的にさするなどをしたら、こういう劇的な変化があった」というシーンがあったが、そういう劇的な変化をする人がすべてではないだろうし、そもそもその場合、「やらせ」や、それに近い演出である可能性もある(わざわざそういう番組に出演し、「まったく変化はありません」という人もいないでしょう)。

・状態の変化を内分泌(ホルモン)系のみで説明していたが、神経系、心臓血管系、筋骨格系など、体はさまざまな器官の働きで変化するので、内分泌系、特にオキシトシンというホルモンに特別注目する必要はないと思う(つまり、別の説明もつく、ということ)。


 僕はその番組を見て、そのようにも感じました。

 まとめると、「誰かに触られると、体内でいろいろな作用があって、健康面でのプラス効果がある。ただしその効果の現れ方には個人差がある」ということを、厳密性は置いておき、わかりやすく、印象に残るような手法で番組化した、といえると思うのです。

 ちなみに、その情報は別に目新しいものではなく、手技療法をしている人や、整形外科医の人などは、「当たり前」くらいに思っているのではないでしょうか。

 また、「テレビみたいにうまくはいかないよ」という考える人も多いと思います。


 健康番組は、ある程度知識があると、このような視点で見ることになります。

 でも、今回のその番組は、「間違い」でもありません。

 そういう意味では、手のみを使うオステオパシーなども、良いものですよー(宣伝)。