昨年の同じく9月に、『新型コロナはピークを過ぎた?』というタイトルの記事を書き、その中で以下のように書きました。
PCR検査陽性者と、無症状などで検査をしていないが実は感染済みの人を合わせ、日本国民全体が集団免疫を獲得しつつあるのかもしれません。
もちろん、再び感染が拡大する可能性も、変種のウイルスが発生してそれがまた感染拡大する可能性もあり、はっきりしたことは言えないのですが…。
結果的に、前者が外れ、後者が当たりとなりました。うまくはいかないものですね…。
しかし今回もまた、分析をしてみようと思います。
まずは時系列のデータをご覧ください。
- 2020年3月1日発表、感染者254人・死者5人・致死率約1.97%
- 2020年3月30日発表、感染者1,886人・死者54人・致死率約2.86%
- 2020年5月1日発表、感染者1万4281人・死者432人・致死率約3.02%
- 2020年9月17日発表、感染者7万7009人・死者1473人・致死率約1.91%
- 2021年9月7日発表、感染者158万517人・死者1万6387人・致死率約1.04%
1年前と比べ、感染者数も死者数も大幅に増えています。しかし、20倍以上感染者が増えているのに、死者は10倍程度。感染しても死ぬ確率がさらに下がっているということになります。なお、日本の人口は約1億2600万人ですので、累計感染者は約1.2%(約98.8%の人は感染していない)となります。
ちなみに9月7日のデータで前日比は、感染者が8234人増加(=新規感染者数)。一方、入院治療等を要する人の数は7197人減少、そのうちの重症者数は11人増加、となっています。1日の感染者増加数に対し、1日の重症者増加数は微小であることがわかります。また、入院治療を要する人の数は、1日の感染者増加数に近い数だけ「減っています」。
これらを合わせると、感染者数に対して、死者数、重症者数、入院治療を要する人の数が、明らかに減っていると考えられます。
以上は、厚生労働省のウェブサイトに記載されている数字からです。
また、首相官邸ウェブサイトにおける9月6日公表のワクチン接種状況は、2回接種完了者が6000万人を超えています(人口の約半分)。そのうち3000万人以上が65歳以上。65歳以上の2回接種完了割合は87.3%となっています。
再び厚労省の、8月31日時点でのデータによれば、直近1週間の年代別新規感染者は、20代がもっとも多く、次いで30代、40代、50代、10代、10代未満、60代となっています。
感染拡大の初期は、高齢者の感染が多く、かつ重症化しやすいというデータが出ていました。しかしその高齢者のワクチン接種が進んだせいでしょうか、今は若い人の感染が増えているようです。しかし、もともと重症化しにくい年代であることと、治療法の進歩もあるのでしょう、重症化する人の割合が明らかに減っているのはそのためだと、僕は思います。
感染拡大の初期に比べ、完全ではないにしても、人の流れは明らかに増えていると思います。「高齢者のワクチン接種も進んでいるし、自分はかかっても死なないだろうから外に出るか」と考える若い人が外に出て、感染し、でも重症化する割合がやはり低い、という状況なのではないでしょうか。
そして、さらにワクチン接種が進み、感染しても重症化しない人の割合が増え、やがて集団免疫を獲得する、という流れが見えてきているように思うのですが、いかがでしょうか?
また、さらなる朗報で、医療体制拡充のニュースも出てきました。
例えば新潟県は8月31日に花角知事が会見で、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ病床を現在の555床から「最大200床増床する方向で調整している」と述べたそうです(日本経済新聞より)。また同日、県は「ピーク時の中等症患者の受入れ体制を強化するため、中等症患者を概ね1つの病棟で受け入れする医療機関の設置」「新型コロナ感染者の重症化を防ぐため、抗体カクテル療法について集中的に対象患者を受け入れる病院を県内各医療圏域で展開する」という発表もしています(新潟県『新型コロナウイルス感染症の医療提供体制強化について』)。そして他の都府県でも、医療体制拡充の流れが出てきているようです。
経済を成り立たせるためには人の流れが不可欠だと思うのですが、もし感染してしまった時に医療体制が不十分ですと、それは難しくなります。ですから感染拡大防止とともに、医療体制拡充も重要であり、その点で朗報といえるのではないでしょうか。
個人的に、世界的に見ればこれまで、日本は非常にうまく感染を抑制してきたと思います。オリンピックもパラリンピックも結局やりましたし、プロ野球だってやっています。自国開発していないにもかかわらず、ワクチン接種も早いと思います。
もちろん、今は新規感染者数が急減少していますが、また増えてくる可能性は十分にあります。しかし、できるだけそれを抑え、かつ感染してもできるだけ重症化しないような対処をし続けながら経済も活性化させて、この国難を乗り切れればよいと思っています。
→最新版『新型コロナウイルスの危険性を判断するための情報』
(ブラウザで閲覧できるGoogleスプレッドシートファイルです。小さな画面でご覧の場合は、横向きで表示させると見やすいと思います)*2022年3月末で、こちらは削除させていただきました