「あ、そこ、触られると何かピリッとします」
「そうですか」
「そこが悪いって、わかるんですか?」
「そうですね…、他のところと違うんです。動かしてみると、ゆがんで、かたくなってるんです」
「へえー。触ってるだけみたいですけどね」
「そうですねー。でも、動かしてるんですよ」
患者さんと、こんな会話をすることがあります。
最近もそれがあったので、今回はそれについて書いてみます。
思うに、オステオパシーの専門学校に入った頃は、やっぱりわかりませんでした。
講師の先生が検査をして、「ここ、変でしょ?」と言われ、自分でやってみても、「?」でした。
もっとも、指の感覚が鈍いという他に、検査のしかたが悪かった、つまり、的確な場所の、的確な方向へ、的確な力を加えられていなかったのかもしれません。でもどちらにせよ、異常のある部分を見つけることは、全然できなかったわけです。
そういえばその頃は、厚手の本に髪の毛を挟み、何枚の紙を重ねてそれを感知できるか、訓練していました。
また、左右の手に均等の感覚が得られるように、左手で箸を使ったり、両手を使っての歯磨きをしたりもしていました。(実は歯磨きは今も両手です。その方が、磨きたいところにうまく歯ブラシが届くので、便利なのです)
しかし結局、実際にいろいろな方の施術をすることが、一番感覚を磨けたと思います。
経験を積むにつれて、段々と段々と、それは鋭くなってきたように思えます。
この道に入ってもう15年が過ぎていますが、そうやって身につけてきた感覚は貴重だなあ、としみじみ思います。
それでお金をいただくことができるのですから、まさに、職人としての「財産」です。
しばらく仕事を休んだら、鈍ったりするのでしょうか?
正月明けとかに、そう感じることはないのですが…。
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