2018年10月31日水曜日

「筋力が落ちたから」は誤解?

 痛みなどの不調を抱えている方が、「筋力が落ちたからじゃないか」とおっしゃることがよくあります。

 今回はそれについて考えてみましょう。


 筋肉は、2つ以上の骨をまたいで付着しており、筋肉が縮むと、それらの骨が近づくように動きます。また、縮まなくても筋肉が緊張すれば、骨同士の位置を保つことができます。

 また、一般的にいう「筋力」というのは、「筋肉が縮む力」であり、それは筋肉の繊維の太さに比例します。ですから、筋肉が太い人は力が強いのです。

 そしてこう考えると、筋力が強ければ、骨の位置をしっかり支えたり、骨をよく動かせることになります。

 したがって、筋力が落ちることで体に異常がでることは、十分にあり得ます。


 しかし…、

 筋肉の機能としては他にも、「やわらかく、よく伸びるか」と、「動作のために必要な動きがうまくできるか」という点も重要なのです。

 たとえば、ある筋肉を縮めて骨を動かそうとしても、その反対にある筋肉が硬くて伸びなければ、それが邪魔して骨はうまく動きません。

 また、実際の動作というのは、ある筋肉を縮めている時にはある筋肉の力を抜く、あるところまで筋肉を縮めたらあとは惰性で動く、ある筋肉とある筋肉を適度に縮めて体のバランスを保つ、などの複雑な筋肉の動きによって成り立っています。

 動作のために必要な動きがうまくできるか、も非常に重要なのです。


 ですから、筋繊維を太くして「単純な筋力」をつけても、体がうまく動かない場合、不調が改善されない場合は、たくさんあると思います。

 健康維持のためには、筋力をつけるだけでなく、筋肉を柔らかくし、その使い方も訓練した方がよいのです。

 いわゆる「筋トレ」だけじゃなく、柔軟体操とか、スポーツなども、やっぱり大切だということです。

 ちなみに、「初動負荷トレーニング」などは、これらのすべてを満たせるトレーニングかもしれません。